社労士の業務は多岐にわたりますが、一言で言えば、企業による人事労務管理をサポートする専門職です。そんな社労士に依頼できる業務は、大きくは2つに分類されます。
1つ目は『アウトソーシング』、2つ目は『コンサルティング』です。
前者は、一般企業の総務部・人事部などで扱う業務のうち、『人』に関する業務を社労士にアウトソーシングしているとイメージしていただければ理解しやすいと思います。
具体的には、下記のような労働保険・社会保険に関する手続・給与計算をアウトソーシングする事ができます。
◎従業員の入社・退職時の雇用保険・社会保険(健康保険・厚生年金)への資格取得や資格喪失の手続
◎従業員が仕事中に負傷したり、通勤途中に負傷した場合の、労災保険の手続
◎従業員が結婚したり、子供が生まれたり等扶養家族に増減が発生した場合の健康保険の手続
◎従業員の氏名や住所が変更された時の雇用保険・健康保険の変更手続
◎会社が移転したり、営業所に増減が生じた場合の労働保険・社会保険の手続
◎従業員の毎月の勤怠管理及び給与計算業務
◎企業が年1回、労働保険料を計算し申告する業務(労働保険年度更新業務)
◎企業が年1回、社会保険料を算定し届出する業務(社会保険算定基礎届業務)
◎健康保険関係の給付手続(出産手当金、傷病手当金、高額療養費等)
では、どのような企業がアウトソーシングをするのでしょうか?一例をご案内します。
①人事労務に関する業務を行う従業員がいない、又は雇う余裕がなく経営者自らが人事労務関連業務を行っていて、経営者本来の業務に専念できず支障が出ている企業が、アウトソーシングを依頼する場合があります。
②人事労務専属の従業員はいるが、人の入社退社手続や給与計算業務量が多く複雑になり、
専門化に依頼する場合があります。
③現在の人事労務分野の人件費削減の為、アウトソーシングする場合もあります。
次に後者のコンサルティングには、『ブラック企業』とならない為、『ホワイト企業』になる為、現時点以上の優良企業となる為の制度設計があります。
具体的には、下記のような就業規則・退職金制度・人事制度(賃金制度・評価制度)設計・助
成金申請・行政官庁調査応対、残業代抑制対策が含まれます。
◎就業規則の作成・見直し・変更
◎変形労働時間制・裁量労働制などのコンサルティング
◎行政官庁(労働基準監督署・年金事務所)の調査対応
◎助成金申請代行
◎賃金制度設計・人事評価制度導入へのコンサルティング
◎退職金制度コンサルティング
では、企業は、どのような場合にコンサルティングを依頼するでしょうか?一例をご案内します。
就業規則を整備したいという企業の場合は、
「社内のルールを明確にしたい」、「従業員のモチベーションを上げて、業績アップを図りたい」
「助成金の申請に必要なため」といった理由が挙げられます。
「助成金の申請ができないだろうか?助成金の申請を検討している。」という企業の場合は、
少しでも活用できる助成金があれば受給して事業の安定的な運営に役立てたいといった理由が挙げられます。
「賃金制度設計」をしたいという企業の場合は、「自社の給与体系は、実態に合っていないので実態に沿った給与体系にしたい」、「従業員のモチベーションが上がるような賃金制度にしたい」といった理由が挙げられます。
これまでに挙げてきた内容以外にも自社の人事労務関連の事について、他者に相談できない経営者が社労士に相談したり、サポートを依頼する事があります。
上記に挙げてきた社労士の業務内容を参考に、自社の現在の状況を踏まえて自社に必要なのは「アウトソーシング」なのか「コンサルティング」なのか、それとも両方なのかを判断してみてはいかがでしょうか。