「障害や体調の不安があり、一般企業で働くのは難しい」「自分のペースで社会とつながりたい」「働くことで自信を取り戻したい」――このような思いを抱える方々にとって、就労継続支援B型は重要な選択肢の一つです。
就労継続支援B型は、障害や難病のある方が、雇用契約を結ばずに自分のペースで働くことができる福祉サービスです。生産活動を通じて、働く喜びや社会とのつながりを感じながら、自立した生活を目指すことができます。
本記事では、就労継続支援B型の概要や対象者、作業内容、工賃、利用手続きなどについて詳しく解説します。自分に合った働き方を見つけるための参考にしてください。
就労継続支援B型とは
就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、一般企業での雇用が難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。
主な特徴は以下の通りです:
- 雇用契約なし:事業所と雇用契約を結ばず、自由な働き方が可能です。
- 工賃の支給:生産活動に対する対価として、工賃が支払われます。
- 柔軟な勤務時間:体調や生活リズムに合わせて、勤務時間や日数を調整できます。
- 支援体制:スタッフのサポートを受けながら、安心して働くことができます。
対象者
就労継続支援B型の対象者は、以下のような方です:
- 障害や難病のある方で、一般企業での雇用が難しい方
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業での雇用が困難になった方
- 50歳以上の方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 就労移行支援事業者などによるアセスメントにより、就労継続支援B型の利用が適切と判断された方
障害者手帳を取得していない場合でも、主治医の診断書などがあれば、障害福祉サービス受給者証が支給され、利用できることがあります。
作業内容と工賃
就労継続支援B型の作業内容は、事業所によって異なりますが、主に以下のようなものがあります:
- パンやお菓子などの製造
- 農作業
- ミシン作業や手工芸
- 清掃業務
- 袋詰めや値札付け
- 簡単なパソコン入力作業
- 製品の梱包作業
- 発送作業
工賃は、生産活動に対する対価として支払われます。雇用契約を結ばないため、賃金ではなく工賃と呼ばれ、最低賃金の保障はありません。
厚生労働省の調査によると、令和3年度の全国平均工賃は月額16,507円、時間給にすると233円となっています。地域や事業所によって異なりますが、作業内容や働く時間、日数などにより工賃は変動します。
利用手続き
就労継続支援B型の利用手続きは以下の通りです:
- 事業所の選定:インターネットや自治体の障害福祉窓口、相談支援事業所などを通じて、希望する事業所を探します。見学や体験を通じて、自分に合った事業所を選びましょう。
- 申請手続き:お住まいの自治体の障害福祉窓口で、利用申請を行います。必要書類や手続きについては、窓口で確認してください。
- 受給者証の交付:申請が受理されると、障害福祉サービス受給者証が交付されます。
- 利用開始:受給者証が交付されたら、事業所と契約を結び、利用を開始します。
就労移行支援との違い
就労継続支援B型と就労移行支援の主な違いは以下の通りです:
項目 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 |
---|---|---|
雇用契約 | なし | なし |
工賃・給与 | 工賃が支払われる | なし |
利用期間 | 制限なし | 原則2年間 |
目的 | 自分のペースで働く | 一般就労を目指す |
対象者 | 一般就労が難しい方 | 一般就労が可能と見込まれる方 |
まとめ
就労継続支援B型は、障害や体調の不安がある方でも、自分のペースで社会とつながりながら働くことができる福祉サービスです。雇用契約を結ばずに働くことができるため、体調や生活リズムに合わせて柔軟に働くことができます。
また、工賃が支払われることで、働く喜びや自信を取り戻すことができ、社会参加や自立した生活への第一歩となります。自分に合った働き方を見つけるために、就労継続支援B型の利用を検討してみてはいかがでしょうか。