「退院後の生活が不安」「日常生活に自信が持てない」「社会復帰したいけれど、何から始めればいいのか分からない」――障害を抱える方々が地域で自立した生活を送るためには、さまざまな支援が必要です。
その中でも、自立訓練(機能訓練・生活訓練)は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つであり、身体機能や生活能力の維持・向上を目的とした訓練を提供します。
本記事では、自立訓練の概要や対象者、サービス内容、利用方法などについて詳しく解説します。自立訓練を活用することで、障害を抱える方々が安心して社会復帰を目指すための一助となれば幸いです。
自立訓練とは?
自立訓練は、障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるよう、一定期間の訓練・支援を行うサービスです。自立訓練には、主に以下の2種類があります:
- 自立訓練(機能訓練):身体機能の維持・回復を目的とした訓練。
- 自立訓練(生活訓練):生活能力の維持・向上を目的とした訓練。
これらの訓練を通じて、障害を抱える方々が地域での生活に適応し、社会復帰を目指すことができます。
自立訓練(機能訓練)の概要
自立訓練(機能訓練)は、身体障害のある方や難病を患っている方などに対し、理学療法や作業療法などのリハビリテーション、生活に関する相談や助言などの支援を行います。
訓練内容には、以下のようなものがあります:
- 基本動作能力の向上(寝返り、起き上がり、移動動作など)
- 日常生活動作能力の向上(食事、排泄、更衣、入浴、整容など)
- 地域生活を送る上で必要な能力の向上(屋外歩行、車椅子練習、持久力・体力の維持・向上など)
利用期間は原則18ヶ月ですが、頸髄損傷による四肢麻痺等の場合は36ヶ月まで延長可能です。
自立訓練(生活訓練)の概要
自立訓練(生活訓練)は、発達障害や精神障害、知的障害などを抱える方々が、地域で自立した生活を送るために必要な生活能力を維持・向上させることを目的とした訓練です。
訓練内容には、以下のようなものがあります:
- 日常生活に関する訓練(食事、掃除、洗濯、買い物、金銭管理など)
- 社会生活に関する訓練(対人関係、コミュニケーション、公共交通機関の利用など)
- 健康管理に関する訓練(服薬管理、体調管理、ストレス対処など)
利用期間は原則2年間ですが、必要に応じて延長が認められる場合もあります。
自立訓練の利用対象者
自立訓練の対象者は、以下のような方々です:
- 入所施設・病院を退所・退院した方で、地域生活への移行を図る上で、身体的リハビリテーションの継続や身体機能の維持・回復などを目的とした訓練が必要な方。
- 特別支援学校を卒業した方で、地域生活を営む上で、身体機能の維持・回復などを目的とした訓練が必要な方。
- 地域生活を営む上で、身体機能・生活能力の維持・向上などのため、一定期間の訓練が必要な方。
なお、自立訓練を利用するためには、市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。
自立訓練の提供形態
自立訓練は、以下の2つの形態で提供されます:
- 通所型:利用者が事業所に通い、訓練を受ける形式。
- 訪問型:スタッフが利用者の自宅を訪問し、訓練を行う形式。
利用者の状況や希望に応じて、通所型と訪問型を組み合わせて利用することも可能です。
自立訓練の利用手続き
自立訓練を利用するための手続きは、以下の通りです:
- お住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談する。
- 相談支援専門員と面談し、サービス等利用計画を作成する。
- 市区町村に申請し、障害福祉サービス受給者証の交付を受ける。
- 自立訓練事業所と契約し、利用を開始する。
手続きの詳細や必要書類については、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にお問い合わせください。
まとめ
自立訓練(機能訓練・生活訓練)は、障害を抱える方々が地域で自立した生活を送るために必要な支援を提供する制度です。身体機能や生活能力の維持・向上を目的とした訓練を通じて、社会復帰を目指すことができます。
自立訓練を利用することで、日常生活に自信を持ち、安心して地域での生活を送ることが可能となります。まずは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談し、自立訓練の利用を検討してみてはいかがでしょうか。