「感情の波が激しくて、自分でもコントロールできない」「集中力が続かず、衝動的に行動してしまう」「ADHDと診断されたけど、もしかして双極性障害もあるかも?」──そんな悩みを抱えていませんか?
ADHD(注意欠如・多動症)と双極性障害(躁うつ病)は、一見似たような症状を持つことがあり、誤診や併発も多い組み合わせです。衝動性・多弁・睡眠の問題などが共通しているため、診断が難しいこともあります。
この記事では、ADHDと双極性障害の違い、それぞれの特徴、併発した場合の対応、誤診を防ぐポイントなどを分かりやすく解説します。診断や治療に不安がある方、自分の状態を見直したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ADHDと双極性障害の違いと共通点
■ ADHDの主な特徴
・注意が散りやすく、集中力が続かない
・忘れ物やミスが多い
・衝動的に話したり行動したりする
・多動(落ち着きがない)
■ 双極性障害の主な特徴
・気分が高揚する(躁状態)または極端に落ち込む(うつ状態)
・躁状態では多弁、浪費、性的逸脱、睡眠時間の減少などが見られる
・うつ状態では無気力、自己否定、意欲低下などが続く
■ 共通する症状
・集中力の低下
・睡眠の乱れ
・衝動的な言動
・気分の波が激しい
■ 大きな違い
・ADHDは「一貫して」衝動性や不注意が見られるのに対し、双極性障害は「エピソード(躁・うつ)」として波がある
・ADHDは幼少期からの発症が多く、双極性障害は思春期以降の発症が多い
・躁状態では過度な自信や攻撃性が出るが、ADHDでは自責感や劣等感が背景にあることが多い
ADHDと双極性障害が併発するケースとその対応
- 併発の可能性はある
研究によると、ADHDと双極性障害は約20〜30%の確率で併存する可能性があります。特にADHDのある子どもが、思春期以降に双極性障害を発症するケースもあります。 - 誤診に注意
ADHDの多動性や衝動性が「躁状態」と誤解されることがあります。反対に、躁状態が「ADHDの一部」と見なされ、見逃されることも。 - 治療薬の違いに注意
ADHDでは中枢刺激薬(メチルフェニデート等)や非刺激薬(アトモキセチン等)を使いますが、これらは双極性障害の躁症状を悪化させることがあります。逆に、双極性障害の気分安定薬はADHDの症状改善には不十分なこともあります。 - 診断は慎重に
両方の症状があるときは、精神科医による詳細な面談・発達歴・家族歴・生活状況の聞き取りが重要です。 - 心理社会的支援も有効
薬物療法に加え、認知行動療法(CBT)、感情調整のトレーニング、家族支援などが併用されると効果的です。 - 就労支援の活用
仕事が続かない、時間管理が難しいなどの困難に対しては、就労移行支援や精神障害者向けの支援制度を利用することが勧められます。 - 自己記録の徹底
気分の変化や行動を記録することで、自身の傾向やトリガーが見えてきます。診察時にも役立ちます。 - やってはいけない:自己判断での薬の中断
症状の波があると「もう大丈夫」と感じやすくなりますが、自己判断での薬の中止は再発のリスクが高くなります。必ず主治医に相談を。
Q&A:よくある疑問に答えます
- Q. ADHDの薬を飲んでいたら躁状態になった気がする…どうすれば?
- A. すぐに主治医に相談を。中枢刺激薬は双極性障害の躁状態を誘発することがあるため、診断見直しが必要です。
- Q. 自分がADHDか双極性障害か、どちらか分からない
- A. 両方の可能性もあるため、過去の発達歴・感情の波・行動パターンを詳しく伝えましょう。専門医の診断が不可欠です。
- Q. 家族や職場にどう伝えればいい?
- A. できれば主治医と相談し、必要に応じて診断書や配慮依頼書などの書類を使いましょう。無理に説明せず、信頼できる人から伝えるのも一つの方法です。
- Q. 両方あると就労が無理?
- A. 決してそんなことはありません。支援制度や福祉サービスを活用しながら、自分のペースで働ける環境づくりが可能です。
まとめ
ADHDと双極性障害は、症状が重なる部分が多いため、診断や治療において混乱しやすい疾患です。しかし、それぞれの違いと併発の可能性を理解し、正確な診断を受けることで、適切な治療と支援が可能になります。
薬物療法だけでなく、心理社会的支援、自己理解の促進、周囲との協力体制づくりも重要です。「どちらか一つに当てはまらない」と感じたときこそ、専門家に相談し、自分の状態を深く知るきっかけにしてみてください。
診断は「ラベル」ではなく「対策の地図」です。あなたらしい生き方を支える手段として、活用していきましょう。