「毎回ギリギリになって焦る」「計画を立てても守れない」「やる気はあるのに行動が続かない」──そんな悩みを抱えるADHDの大人は少なくありません。周囲から「だらしない」「やる気がない」と誤解されて、自信をなくしてしまう方も多いでしょう。
実はこの「計画性のなさ」や「先延ばしグセ」は、ADHDの特性によるもの。意志や根性の問題ではなく、「実行機能」と呼ばれる脳の働きが影響しているのです。
本記事では、ADHDの人がなぜ計画を立てるのが苦手なのかを脳の仕組みから解説し、特性に合った時間管理やスケジューリングの方法を7つ紹介します。「計画倒れ」を防ぎ、日常生活をもっと楽に、楽しくするためのヒントをお届けします。
なぜADHDの人は計画性が苦手なのか?
ADHDの主な特性には、以下のようなものがあります。
- 注意のコントロールが難しい:目の前の刺激に反応しやすく、長期的な目標への集中が続きません。
- 実行機能の弱さ:計画を立てる、順序立てて行動する、時間を見積もるなどの「段取り力」が弱い傾向があります。
- 時間感覚が独特:「今」と「それ以外」の2つしか時間感覚がなく、締切直前でやっと動けることも多いです。
たとえば、大阪在住のCさん(20代女性)は「ToDoリストを作っても、1日で崩壊する」と悩んでいましたが、「1つのタスクを小さく分けて付箋に書く」という方法で劇的に改善。「自分には“完璧な計画”よりも“ざっくり感”が合っていた」と話します。
ADHDに合った7つの時間・計画術
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① タスクを“超小分け”にする
大きなタスクは脳が拒否反応を示します。たとえば「資料作成」を「資料の見出しを書く」「参考資料を探す」などに分け、1つずつ進めましょう。小さくすればするほど手が動きやすくなります。 -
② 「やる順番」を決めるだけでも効果大
優先順位を完璧に決めなくても「次に何をするか」が決まっていると行動しやすくなります。朝に「次は〇〇する」と自分に言ってあげるだけで混乱を防げます。 -
③ アナログツールを活用する
ADHDの方には、カラフルな付箋、ホワイトボード、マグネットなど「目に見えて動かせる」ツールが効果的。スマホアプリより、紙ベースの方が記憶にも定着しやすい傾向があります。 -
④ 「○時に○分だけやる」時間制限方式
だらだら続けるのではなく、「20分だけ集中→5分休憩」を繰り返すポモドーロ・テクニックが有効です。集中力の波を活かせます。 -
⑤ 「見える化」で進捗を管理
タスクをこなすたびにチェックマークをつける、カレンダーに達成スタンプを貼るなど、視覚的に「やった感」があると脳が報酬を感じやすくなります。 -
⑥ 予定は“倍”の時間で見積もる
ADHDの人は時間見積もりが苦手なので、タスクの所要時間を「実際の2倍」で見積もっておくと、余裕が持てて焦りにくくなります。 -
⑦ 「できない日」がある前提で予定を組む
毎日完璧にやる前提ではなく、「できない日もある」「3日坊主でもOK」と考えて、長期スパンで“戻ってこれる習慣”を意識することが大切です。
まとめ
ADHDの「計画性のなさ」は、決して努力不足ではなく“脳の働きの違い”です。だからこそ、自分の特性に合った方法を選ぶことが大切。タスクを小さく分ける、視覚で管理する、完璧を目指さない──そんな小さな工夫が日常を劇的に変えることもあります。
東京・名古屋・大阪・福岡など全国各地の就労移行支援でも、ADHD傾向のある方へのサポートは年々充実しています。「自分のやり方」でうまくいく方法、ぜひ見つけてみてください。