「話すときに言葉が詰まる」「同じ音を繰り返してしまう」「緊張するとうまく話せない」
こうした話し方の特徴に悩んでいる方は、吃音(きつおん)という言語障害の可能性があります。吃音は子どもから大人まで幅広く見られ、日常生活や人間関係に影響を及ぼすこともあります。
しかし、吃音には多様な特徴や型があり、必ずしも一つの「正しい話し方」ができないからといって本人の努力不足ではありません。むしろ特性として理解し、適切に支援することが重要です。
本記事では、吃音の基本的な特徴、発生の仕組み、年齢による違い、そして周囲のサポートのあり方まで解説します。
吃音の主な特徴と分類
1. 吃音の3つのタイプ
- 連発型:言葉の先頭を繰り返す(例:「ぼ、ぼ、ぼくは…」)
- 伸発型:音を引き伸ばす(例:「ぼーーーくは…」)
- 難発型:言葉が詰まって出てこない(例:「………ぼくは…」)
2. 症状の変動
吃音はその日の体調、緊張度、環境(家 vs 学校・職場)によって強くなったり軽くなったりします。また、歌う・独り言・一人で読んでいる時などは吃音が出にくいという特徴もあります。
3. 二次症状の存在
言葉が詰まることにより、顔をしかめたり、手足を動かすなどの「随伴運動」が見られることもあります。また、話すこと自体への恐怖や不安、避け行動も発展します。
年齢別に見る吃音の特徴
幼児期(2~5歳)
言語発達の過程で一時的に吃音が現れることも。成長とともに自然消失するケースも多いですが、長期化や固定化する場合は早期対応が重要です。
学童期~思春期
学校での発表や会話への不安が強くなり、からかわれるなどの二次的な問題が発生しやすい時期です。自己否定感が高まりやすくなります。
成人期
仕事や就職活動、対人関係での困難が顕在化しやすくなります。特に面接や電話対応など「話さなければならない」場面でストレスが増加します。
吃音への理解と対応
- 吃音は努力不足や性格の問題ではない
- 本人の話し方をさえぎらず、ゆっくり聞く姿勢が大切
- ことばの教室や言語聴覚士(ST)による支援が有効
- 成人には認知行動療法や言語訓練なども選択肢
- 障害者手帳の対象になる場合もあり、支援制度が利用可能
まとめ:吃音の特徴を知ることが支援の第一歩
吃音にはさまざまな形があります。本人にとっては無意識でありながら、話すたびに大きなエネルギーを使っています。周囲の理解と適切な支援が、本人の自己肯定感を育て、社会参加への一歩となります。
吃音に悩む方やその家族は、専門機関に相談し、安心できる話し方と付き合い方を見つけていくことが大切です。