「B型支援事業所ってなに?」「A型や就労移行支援との違いは?」「利用するとどんな支援が受けられるの?」——障害者の就労支援を調べると目にする「B型支援事業所」という言葉。けれど、その具体的な内容や利用対象、作業内容などは案外知られていません。本記事では、B型支援事業所の基本から支援内容、利用手順、就職へのつながり方までを、事例とともに詳しく解説します。
「いきなり働くのは不安だけど、外に出て何かしてみたい」「就職はまだ難しいけれど、生活リズムを整えたい」——そんな思いを抱える障害者の方にとって、B型支援事業所は最初の一歩となる“安心して通える場所”です。
しかし、「B型=福祉施設?」「働く場所?」「給料は出るの?」といった疑問もつきもの。特に大阪・東京・福岡・名古屋など都市部では事業所の数も多く、違いが分かりにくいとの声が少なくありません。
この記事では、B型支援事業所の目的や対象者、具体的な作業内容、A型や就労移行支援との違い、利用方法などを分かりやすく紹介します。自分や家族にとって必要な支援が何かを考えるヒントになれば幸いです。
B型支援事業所とは?制度の基本を理解しよう
■制度の概要
B型支援事業所(就労継続支援B型)は、障害や難病のある方が、雇用契約を結ばずに自分のペースで働く機会や訓練を得られる福祉サービスの場です。就労が難しい方が「社会との接点を持つ」「生活リズムを整える」「自己肯定感を育てる」ことを目的としています。
■対象者
- 精神障害(うつ病、統合失調症、双極性障害など)
- 発達障害(ASD、ADHDなど)
- 知的障害・身体障害・難病・高齢による就労困難
- 障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書があれば利用できる場合もあります
■A型・就労移行支援との違い
支援種別 | 雇用契約 | 報酬 | 目的 |
---|---|---|---|
A型 | あり | 最低賃金保障 | 一般就労に向けた働く訓練 |
B型 | なし | 工賃(時給100〜300円程度) | 生活リズム・社会参加・訓練 |
就労移行 | なし | 訓練手当なし | 最短2年で就職を目指す |
■Cさんの事例(福岡在住・40代女性)
統合失調症の症状で長く引きこもっていたCさん。最初は週2回だけB型事業所に通い始め、封入作業や内職を経験。半年後には通所が週4日に増え、現在は就労移行支援へステップアップ中。
B型支援事業所で受けられる8つの支援内容
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1. 軽作業の提供
封入、シール貼り、手工芸、農作業、清掃など。スキルより継続する力を重視します。 -
2. 通所リズムの定着支援
「毎日通う」ことを目標にせず、週1〜からでも無理なく始められます。大阪の事業所では「午前だけ利用」なども可能。 -
3. 工賃の支給
作業の成果に応じて工賃が支払われます(全国平均:月1〜1.5万円)。自己肯定感やモチベーションに繋がります。 -
4. 個別支援計画の作成
利用者の状況に合わせた支援計画を作成し、目標を設定。生活面の悩みも相談できます。 -
5. 医療・福祉機関との連携
主治医、精神保健福祉センター、相談支援専門員と連携し、安心して利用できる体制を整備。 -
6. 食事や送迎サービス(施設による)
昼食提供や送迎サービスを行っている事業所もあり、通いやすさが向上。 -
7. コミュニケーション訓練
人との関わりに不安がある方に向け、挨拶や会話練習、集団活動の機会も提供。 -
8. ステップアップ支援
体調やスキルが安定してきたら、A型や就労移行支援への移行支援も行われます。
よくある質問Q&A
Q1. B型は“働いている”ことになるの?
A. 雇用契約がないため法律上は“就労”ではありませんが、社会参加・訓練という重要な意味があります。
Q2. 工賃が少ないのはなぜ?
A. B型は「収入」より「通所・参加」の継続を重視した福祉的制度のためです。仕事の質や量に応じて増加するケースもあります。
Q3. 利用料はかかる?
A. 原則は無料。世帯所得に応じて月額上限(9,300円)が設定されています。
Q4. 年齢制限はあるの?
A. 原則18歳以上ですが、65歳以上でも体調や支援が必要と認められれば利用可能です。
まとめ
B型支援事業所とは、「いきなりの就職は難しいけど、何か始めたい」「少しずつ外に出たい」という方にとって、無理なく通える福祉の“就労準備の場”です。工賃は少額ながら、「通うこと」「人と関わること」が目的となる点が大きな特徴です。
大阪・東京・福岡・名古屋などの都市では多様なB型事業所が展開されており、自分に合った支援を選ぶことが可能です。見学や体験から始めることもできるので、まずは一歩を踏み出してみましょう。社会との接点が、あなたの明日を変えるきっかけになります。