「就労支援を受けたいけど診断書が必要と言われた」「医師にどうやってお願いすればいいの?」「診断書って何に使えるの?」
発達障害や精神障害、知的障害などを理由に支援サービスや制度を利用するには、医師の診断書が求められる場面が多くあります。しかし、診断書の依頼は意外とハードルが高く、「何を伝えるべき?」「お金はかかるの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、診断書を依頼する際に知っておくべきポイントや注意点、実際の使い道までを詳しく解説します。就労移行支援や障害者手帳の申請、職場への配慮依頼などに備えて、適切に診断書を活用しましょう。
診断書が必要になる場面と使い道
■主な使用目的
・障害者手帳(精神・身体・療育)の申請
・就労移行支援、生活訓練の利用申請
・職場での配慮依頼(合理的配慮)
・障害年金や生活保護の申請時
・学校での支援(通級指導、支援学級)
■誰が書いてくれるのか?
原則として、かかりつけの医師(精神科・心療内科・小児科・発達外来など)が診察内容に基づいて作成します。通院歴が浅い場合、すぐには発行してもらえないことがあります。
■Fさん(名古屋・20代女性・ASD診断)の事例
Fさんは、就労移行支援を利用するため、医師に診断書を依頼。「ASDおよびうつ病により、対人関係で困難がある」と記載され、役所での申請がスムーズに進行。数週間後には通所が開始された。
診断書を依頼するための8つのポイントと手順
- 1. 事前に「何に使うか」を明確にする
【理由】用途によって書き方や内容が異なる。
【方法】「就労移行支援の申請用に必要です」と明確に伝える。
【効果】目的に合った内容でスムーズに手続きが進む。 - 2. 市区町村や支援機関で「様式」を確認する
【理由】自治体や制度によって書式が指定されている。
【方法】福祉課・支援センターなどに問い合わせ。
【効果】不要な再発行を防ぎ、時短につながる。 - 3. 医師との関係を築いてから依頼する
【理由】初診や1回の診察では診断の確定が難しいことがある。
【方法】継続的に通院し、症状の推移や困りごとを共有。
【効果】より的確な診断内容を書いてもらえる。 - 4. 自分の困りごとを整理して伝える
【理由】限られた診察時間で重要な情報を伝えるため。
【方法】「職場でこんな場面がつらい」「生活でこんな支障がある」などを事前にメモ。
【効果】診断書に具体的な支援理由が反映されやすい。 - 5. 作成には時間がかかることを理解する
【理由】医師が後日作成するケースがほとんど。
【方法】「1~2週間かかる」と見越して早めに依頼。
【効果】手続きの遅延を防げる。 - 6. 診断書の費用を確認しておく
【理由】保険適用外のため、自己負担になる。
【方法】医療機関に事前確認(相場は2,000~5,000円程度)。
【効果】予算に備えられる。 - 7. コピーやスキャンを自分用に保管する
【理由】提出後に再発行が必要になるケースもある。
【方法】手元に1部コピーを取っておく。
【効果】再申請や他制度への転用がしやすくなる。 - 8. 診断名が載ることに不安がある場合は相談する
【理由】職場提出などで配慮した記載方法が可能な場合がある。
【方法】「症状ベースで書いてほしい」など希望を伝える。
【効果】プライバシーを守りながら支援を受けられる。
■NG行動:急に「診断書ください」とだけ言う
医師にとっては「何の目的で?」「どの様式で?」がわからなければ書きようがありません。相手にとって分かりやすい依頼を心がけましょう。
Q&A:診断書に関するよくある疑問
Q.「診断書なしでも就労支援は受けられますか?」
A. 原則として必要です。ただし自治体によっては、簡易な意見書や相談記録で代用できる場合もあります。支援機関に確認を。
Q.「家族が代理で診断書を受け取れますか?」
A. 原則は本人のみですが、同意書や身分証を提示すれば家族受取が可能なケースもあります。事前に医療機関へ確認を。
Q.「会社に提出する診断書と役所に出す診断書は別?」
A. 用途が異なるため、それぞれ内容や書式が異なることが一般的です。同時に依頼する場合は、医師にその旨を説明しましょう。
Q.「発達障害は診断書がなくても自称で申請できる?」
A. 支援制度を受けるには、客観的な診断が必要とされることが多いです。正式な診断や診断書の取得をおすすめします。
まとめ:診断書は“あなたの困りごとを支える橋渡し”です
診断書は、医療と福祉・職場をつなぐ重要な書類です。発達障害や精神障害、その他の特性を持つ方が、適切な支援を受けるためのスタートラインとなります。
依頼時には、「目的」「提出先」「希望内容」を明確にし、医師とのコミュニケーションを丁寧に行うことが鍵です。
無理せず、正しく支援を受けるためにも、診断書を味方につけて前向きな一歩を踏み出しましょう。