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ADHD(注意欠如・多動症)の特徴・症状と診断・治療を紹介します!相談先や診断後の支援も

ADHD(注意欠如・多動症)は発達障害のひとつで、注意力の障害と多動性・衝動性を特徴とする行動の障害です。

注意が続かずに仕事でミスを繰り返す、落ち着きがなくじっとしていられない、衝動的な感情を抑えられないなど、日常や社会生活の中でADHDの特性が現れます。

当記事では、ADHDに関する特徴と症状、診断と治療、ADHDの人をサポートする支援制度・機関についてわかりやすく解説します。

 

 

目次

 

1.ADHD(注意欠如・多動症)とは

2.ADHDの特徴と症状

3.ADHDの診断と治療

3-1.ADHDの診断

3-2.ADHDの治療

4.専門機関・医療機関とつながる

4-1.専門機関

4-2.医療機関

5.支援制度を利用する

5-1公的支援制度

5-2.障害福祉サービス

6.まとめ

 

 

1.ADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動性・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。ADHDを持つ小児は家庭・学校生活でさまざまな困難をきたすため、環境や行動への介入や薬物療法が試みられています。

 

またADHDは、子ども特有のものではなく、成長した後も症状が続くこともあり、大人になってから気づく人も増えています。ADHDは、成人の3~4%が持っていると言われていて、診断を受ける大人が増加しています。

 

ADHDの詳しい原因はまだ明らかにされていませんが、脳の機能障害が原因であるとの説が有力視されています。日常生活に支障のない程度に症状を緩和させる「寛解」の状態に導くことは、治療や対策により十分可能です。

 

2.ADHDの特徴と症状

ADHDは大きく分けて3つのタイプに分けられます。

 

【不注意優勢型】

不注意による特徴として、「注意し続けることができない」「作業中にミスが生じやすい」「片づけが苦手、忘れ物が多い」などがあります。

 

【多動性・衝動性優勢型】

多動性・衝動性による特徴として、「落ち着きがない」「待つことができない」「過度なおしゃべりや不用意な発言」などがあります。

 

【混合型】

「不注意」と「多動性・衝動性」の両方の特徴を持つ場合です。どの特徴が強く出るかは人により異なります。

 

上記のように、「不注意」と「多動性・衝動性」の両方がある場合と、どちらか一方が優勢になる場合があります。

ADHDの特徴は、小児期から成人期まで続くことが多いですが、成長するにつれて「多動性・衝動性」の度合は目立たなくなる傾向があります。一方、「不注意」の特徴は大人になっても現れやすいといわれています。

 

3.ADHDの診断と治療

 

 

3-1.ADHDの診断

ADHDの診断は、DSM-5というアメリカ精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル」に記載されている基準や、いくつかの心理検査を併用した問診などにより行われます。

 

【DSM-5によるADHDの診断基準】

①不注意と多動および衝動性の特性が、同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること。

②症状のいくつかが12歳以前より認められること。

③2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること。

④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること。

⑤その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと。

出典:e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」

 

上記の条件が全て満たされたとき、ADHDと診断されます。

ただし、DSM-5の解釈の幅は広く、他の病態と見分けることが難しいという課題もあります。診断基準や検査法がある程度確立されていても、ADHDの診断は簡単ではなく、相応の時間を要するのが現状です。

 

3-2.ADHDの治療

ADHDの特性をうまくコントロールすることで、困りごとや生きづらさを軽減し、快適な社会生活を送れるようにします。

ADHDの治療として、生活しやすい環境をつくる環境調整、行動を改善するための対処法を身につける心理療法、症状をやわらげる薬を使う薬物療法などが行われています。

 

【環境調整】

ADHDの人が、日常生活を送りやすいように周囲の環境を工夫することを「環境調整」といいます。生活リズムが整うように暮しの場を見直したり、同僚の人たちに理解を求めて仕事の場を調整したりするなど、活動しやすくなるように工夫します。また、苦手な作業は同僚の人たちに助けを求め、得意な作業は積極的に担当することで、効率よく業務をこなせるようにします。

 

【心理療法】

  • 認知行動療法

ADHDの治療では、薬物療法に加えて認知行動療法を行うことが有効とされています。ADHDの人が、自分の心の動きや癖に気づくことで、心の動きに起因するADHD特有の問題にも対処しやすくなります。

 

  • ソーシャルスキル・トレーニング(SST)

社会とうまく関わっていくために必要なスキルを身につけるプログラムです。人との接し方や感情をコントロールするための方法、職場におけるコミュニケーションスキルなどを学びます。

 

【薬物療法】

ADHDの治療は、まず環境調整や心理療法などを行い、その後薬物療法を行うことが推奨されています。一方、本人や家族へ十分に説明を行ったうえで、初回から薬物療法を開始する場合もあります。

薬は有効性と安全性のバランスに注意しながら選択されます。薬を使う場合でも、環境調整や心理療法なども続けて取り組んでいくようにします。うつや不安などの精神的な不調を伴う場合には、その治療も併用して行います。

ADHDの薬物治療には、コンサータ、ストラテラ、インチュニブなどが使われます。これらの薬は作用する仕組みが少しずつ異なりますが、ADHDの特性である、多動性・衝動性・不注意に効果を発揮します。医師とよく相談したうえで、適切に使用することが大切です。

 

4.専門機関・医療機関とつながる

「生活に支障が出ている」「生きづらさを感じる」など、社会生活を送るうえで困りごとが多く、自分でうまく対処できないなら、専門機関や医療機関で相談してみましょう。

 

4-1.専門機関

【発達障害者支援センター】

ADHDなどの発達障害のある人や家族への支援を総合的に行う専門機関です。医療や仕事、さらに精神障害者保健福祉手帳の取得など、さまざまなことを相談できます。

 

【障害者就業・生活支援センター】

発達障害のある人が仕事と生活において自立できるように支援を行う機関です。就職活動や職場定着の支援、日常生活のセルフケアの支援や社会生活力を身につける支援など、さまざまな支援を受けられます。

 

【地域障害者職業センター】

ハローワークと緊密に連携しながら、障害者への専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。障害者ひとりひとりのニーズに応じて、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などを実施します。

 

【精神保健福祉センター】

心の健康や精神医療にかかわる相談など、精神保健福祉全般の相談・支援を実施しています。医療機関などの情報提供、精神科デイケアのプログラムも行っています。電話相談にも対応可能。

 

【保健所】

心の病気に関する不安や悩みなど、精神保健福祉全般についての相談や支援が利用できます。地域の身近な相談窓口です。電話相談にも対応可能。

 

4-2.医療機関

社会生活で困りごとが多い、または専門機関から受診を勧められたなら、医療機関を訪ねて検査・診断を受けることを検討しましょう。

発達障害者支援センターや精神保健福祉センター、保健所などに相談すると、発達障害専門医のいる医療機関の情報が得られます。またインターネットを使って専門医療機関を調べることもできます。

 

5.支援制度を利用する

 

 

5-1.公的支援制度

【障害者手帳】

ADHDなど、発達障害の方も手帳の対象者となります。障害があることを手帳により証明することで、障害の種類や程度に応じた支援やサービスを受けることが可能になります。

発達障害のある人で、知的な遅れがない場合は「精神障害者保健福祉手帳」を取得でき、知的障害を合わせもつ場合には「療育手帳」を取得できます。

※手帳取得による支援例… 障害者雇用枠での就労、生活福祉資金の貸付け、税金の控除・減免など。

 

【自立支援医療(精神通院医療)】

心身の障害を軽くするための医療にかかる費用を軽減する制度です。精神疾患や発達障害への対応のために継続的な通院を必要とする場合、この制度を利用することで自己負担が原則1割になります。

 

【障害年金】

公的年金の加入者が、病気やけがなどにより心身に障害が生じ、日常生活や就労の面で困難が多くなった場合に受け取れる年金です。障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。

 

5-2.障害福祉サービス

障害者総合支援法は、障害者の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律です。この法律により、自立支援や地域生活支援など、さまざまな障害福祉サービスを受けることができます。以下はその例です。

 

【自立訓練】

理学療法や作業療法などのリハビリテーション、食事や家事などの日常生活能力を身につける訓練や相談などが受けられます。

 

【就労移行支援】

生産活動やその他の活動の機会を通じて、就労に必要な訓練、指導が受けられます。利用期間は2年間です。就職活動のサポートもあり、就職後6か月間は、職場定着のための支援を行います。

 

6.まとめ

もし、社会生活を送るうえで困りごとが多く、ADHDかも知れないと疑う場合には、発達障害に対応できる専門機関や医療機関を訪ね、相談してみましょう。

ADHDと診断された後は、さまざまな支援制度、支援機関につながることができます。

適職に就いて働き続けるために、障害福祉サービスの「就労移行支援」を利用することもできます。就労移行支援事業所では、自己理解を深め、自分の特性に見合った対処法を学べ、ADHDの人の就職から定着までをサポートしてもらえます。

 

 

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