大阪市西区の就労移行支援事業所にこにこワークスでは、精神疾患や発達障害など、障がいや難病により単独で就職する事が困難で、就職に支援が必要な方を対象に障害福祉サービスの提供を行っております。
障害をお持ちの方が就職活動をする際、
・障害者枠と一般枠の違いは?
・障害者枠と一般枠どちらで働くのがいいのか?
・どうすれば障害者枠で働くことができるのか?
などと悩まれることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、障害者枠と一般枠の違いやそれぞれのメリットとデメリットについて整理し、実際ににこにこワークスでの支援がどのようなものなのかについてもお話していきたいと思います。
「障害者雇用」について
障害者雇用という制度をご存知でしょうか?
国は、障害をお持ちの方がそれぞれの能力や適性に合った働き方をすることを目指し、障害者雇用対策を進めています。
「障害者雇用促進法」という法律の中では、法定雇用率というものが定められています。
法定雇用率というのは、企業が雇用する必要のある、障害をお持ちの方の割合のことです。
現在の法定雇用率は2.3%なので、ある一定の規模以上の企業は、雇用する労働者の2.3%に相当する障害をお持ちの方を雇用することが義務付けられています。
これによって、ある一定の規模以上の企業は、2.3%以上の障害をお持ちの方を雇用する必要があります。
そのために設けられているのが「障害者枠」です。
障害者雇用を行う企業は、雇用した障害をお持ちの方に対して、障害の特性に配慮した対応を行うことを義務付けられています。
これを「合理的配慮」といいます。
たとえば、
・月に1回心療内科の通院日は出社時刻を調整する
・耳だけで指示を受けると理解しづらいため、図と文字で書かれたマニュアルを用意する
・聴覚過敏で周囲の音が気になる際に耳栓の使用を許可する
・過集中気味になってしまうため、1時間に5分の休憩を設ける
・多くの指示をもらうと混乱してしまうため、1つずつ指示をするようにする
など、その方の障害特性に対して必要とされる対応が、「合理的配慮」です。
では、雇用してもらう障害をお持ちの方は、なんでもかんでも配慮をお願いすればいいのか?
雇用する企業は、お願いされた配慮事項はすべて受け入れなければならないのか?
と言われると、そうではありません。
合理的配慮は、障害をお持ちの方にとって「必要かつ適当なもの」であり、さらに企業にとって「過度な負担とならないもの」である必要があります。
障害をお持ちの方は、自分でできることまで配慮を求めてはいけないし、企業は、無理をしてすべての要求に応えることもする必要はない、ということです。
雇用される側も雇用する側も、どちらにとっても無理のない配慮事項であることが大切です。
また、現在2.3%である法定雇用率は、およそ5年ごとに見直されています。
民間企業では、2013年に2.0%、2018年4月に2.2%、2021年3月からは2.3%と0.1~0.2%ずつ引き上げが行われてきました。
つまり、企業が雇用するべき障害をお持ちの方の数が増えてきているということです。
そのため、障害をお持ちの方が特性に合った仕事や環境で働く機会は増え、障害に対する理解も得られるようになってきています。
「障害者枠」と「一般枠」
障害のある方が就職する場合、上記でお話した障害者雇用での働き方、つまり「障害者枠」か、通常の「一般枠」のどちらかを選ぶことになります。
それぞれの違いはどこにあるのでしょうか?
また、どのような人が対象となるのでしょうか?
まず、それぞれを簡単にまとめると
「一般枠」:障害の有無にかかわらず受けることのできる、通常の求人のこと
「障害者枠」:企業が障害者雇用を行うために設けられた枠の求人のこと
となります。
そして「障害者枠」の対象となるのは、障害者手帳を取得している方です。
障害者手帳には、以下の3種類があります。
・身体障害者手帳
・療育手帳 ※自治体によって名称は異なる
・精神障害者保健福祉手帳
たとえば、「知的障害」の診断を受けていても手帳を取得していなければ、「障害者枠」の求人に応募することはできません。
また、逆に障害者手帳を取得しているなら必ず「障害者枠」の求人に応募しなければならないというわけではなく、「一般枠」の求人に応募することもできます。
一般枠での雇用の特徴をまとめると、
・障害者手帳がなくても応募することができる
・障害について伝えずに働くことがほとんどであるため、配慮を受けられないことが多い
となります。
それに対し、障害者枠での雇用の特徴は、
・障害者手帳を取得している必要がある
・障害特性について伝え、相互理解を図ることで、配慮を受けながら働くことができる
となります。
ただし、一般枠での雇用であっても、障害をオープンにして働く(自分の障害について伝える)こともあります。
この場合、あまり障害に対する知識のない企業であれば懸念されることも多く、採用に繋がるのが難しいというデメリットがあります。
しかし、障害があっても、それまでの経験やスキル、知識、人柄が企業にとってプラスになると感じてもらえたり、
療養によるブランクの長さや転職回数の多さがある場合、障害や病気について伝えることで、企業側も納得ができ、素直で正直に伝えたことで信頼できると感じてくれることもあります。
実際に、にこにこワークスの利用者にも、障害を開示した上で、一般枠で採用してもらった事例があります。
その方は障害者手帳を取得していない方でした。
それでも今までの仕事での失敗から、しっかり自分の特性を知ってもらった上で採用してもらうことが長期就労につながると考えて、障害を開示して応募することを決めました。
また、もう1つ一般枠と障害者枠、さらに言うと障害を開示した場合と開示していない場合で大きな違いがあるのが、就職後の職場定着率です。
厚生労働省によると、それぞれの定着率は、
障害者枠での求人:約70%
一般枠での求人(障害開示):約50%
一般枠での求人(障害非開示):約30%
となっており、特に障害について開示しているかいないかで、約2倍以上の定着率の差があることがわかります。
にこにこワークスの利用者も、こういった背景から、より安定して長く働くために、障害を伝えて理解してもらった上で働くことを希望する方が多いです。
障害者枠と一般枠の違いについて整理しましたが、それぞれのメリットやデメリットはあるのでしょうか?
なぜ定着率にそこまでの差が出ているのでしょうか?
以下では、障害者枠と一般枠のメリットとデメリットについて考えていきます。
「障害者枠」と「一般枠」のメリットとデメリット
<障害者枠のメリット>
・特性に合わせた配慮を受けることができる
・労働時間や業務内容を調整してもらえる
・障害に対する理解のある環境が多い
・実習やトライアル雇用など、環境を確認してから応募できることがある
・支援機関を使うことで、定着支援を受けることができる
<障害者枠のデメリット>
・一般枠に比べ、求人の数が少ない傾向がある
・一般枠に比べ、給与水準が低いことが多い
・障害者手帳を取得していなければ応募することができない
<一般枠のメリット>
・障害者枠に比べ、求人の数が多く選択肢が広がる
・障害者枠に比べ、給与水準が高いことが多い
<一般枠のデメリット>
・障害について伝えていないため、配慮は受けられず自分で対処する必要がある
・障害特性について隠していることがストレスとなる
・定着支援で支援者が企業にアプローチすることができない
また、障害者枠での求人は正社員が少なく、契約社員が圧倒的に多くなります。雇用する方が職場にマッチするかどうかを見極めるため、企業が障害をお持ちの方を雇用する際は、契約社員からになりがちです。
障害をお持ちの方にとって、契約社員から始めることにはメリットもあります。いきなり責任の大きい仕事をするよりも、取り組みやすい仕事からする方が安心感もあり、環境面でもその会社で本当に働いていけるのかを確かめることもできるからです。
契約社員からスタートしても、企業によっては将来的に正社員になることができる可能性も十分あります。
初めから正社員の求人を探すとかなり数が少なくなりますが、契約社員からステップアップし、自分に合った環境で正社員として長く働くことをめざすことも一つの選択肢になるかもしれません。
就労移行支援でのサポート
ここからは、障害をお持ちの方が就職活動をする際にどのような支援を受けることができるのかについて、お話していきます。
まず、企業が障害者雇用をする際に、応募してきた障害をお持ちの方に対して何を求めていると思いますか?
どんな人を採用したいと考えていると思いますか?
スキルの高さでしょうか?
障害の程度でしょうか?
実際に企業の方に聞いた答えは、『自己理解』です。
「自分の障害特性を理解し、受け入れられている人」だそうです。
・障害名ではなく、障害によって苦手なことやできないことは何か?
・それに対してどのような工夫や対処をしているか?
・企業が配慮すべきことはどのようなことか?
こういったことを、しっかり自分で理解して伝えることができるかどうかが最も重要視されています。
会社で長く働いてもらうためには、雇用する障害をお持ちの方と企業がマッチしていることが非常に大きなポイントとなるからです。
そのためにも、支援機関のサポートを受けながら、自己理解を深める必要があります。
就労移行支援は、就労に向けてさまざまなトレーニングを行う場所ですが、それによって、どのような作業が得意で苦手なのか、どのような場面でストレスがかかりやすいか、そしてどのように対処すればいいのかなど、
色々な視点で、自分の障害特性や性格、考え方、ストレスについて知っていきます。
そしてそれを視覚化した「特性シート」を作成して提出し、面接練習などで自分の言葉で伝える練習を重ねていきます。
それらのお手伝いをさせていただくのが、就労移行支援です。
就労移行などの支援機関を利用するメリットとして、他には企業に安心感を与えることもあります。
特に障害者雇用にまだ慣れていない企業であれば、
・障害に対してどのような配慮や関わりをすればいいのか?
・体調を崩して休んだり出勤できなくなったりしたら?
など、障害をお持ちの方を雇用することに対して不安を抱きがちです。
その場合、障害をお持ちの方が支援機関を利用していることで、支援機関が間に入り、企業と連携してサポートすることができるため、企業にとっても安心につながることが多くなるのです。
また、障害者枠での雇用と一般枠での雇用では、就労移行支援の中で行うことができるサポート内容についても違いがあります。
<障害者枠/一般枠で障害開示の場合>
・職場見学や実習などの機会を提供できることが多い
・応募の際の面接に同行できることが多い
・就職が決まってから、企業と連携して定着支援を行うことができる
一般枠での障害非開示の場合、上記のサポートを行うことが難しくなりますが、全ての方に対し、以下のような就職支援も行っています。
・障害特性についての対処法の相談
・求人の提供や応募書類作成のサポート
・就職が決まってから、電話やメール、来所による相談
特に障害者枠/一般枠で障害開示の場合、就労移行支援などの支援機関を利用していることで、定着支援を受けることができるという点が、定着率の高さに大きく影響していると考えられています。
今回お話したように、障害者枠と一般枠には、それぞれにメリットもデメリットもあります。
どちらが正解というわけではないため、にこにこワークスではどちらかをお勧めすることはしていません。
しっかり一人一人と向き合い、話をしながら、その方がどのようなキャリアプランを考えているかによって、その人に合った働き方や環境を選択できるようにお手伝いさせていただいております。
ご不明なことやご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問合せくださいませ。
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