たくさんある社労士事務所を比べて利用するときの注意点

【社労士の業務って何があるの?】

まずは、社労士にお願いできる業務をまとめると以下のようになります。

企業からの依頼による従業員に対する人事雇用等、労務に関する相談・指導>
給与計算、各種(労働災害・社会保険(健康保険・厚生年金等)における私傷病、出産、死亡等)申請などの事務手続き、労働保険(労災保険・雇用保険)における申請等の事務手続き、労働保険料・年度更新に伴う算定納付諸手続き、社会保険料を確定させる算定基礎届の作成、労働者名簿及び賃金台帳など法定帳簿の調製、就業規則等の作成・改訂、賃金や退職金、企業年金制度の構築、各種助成金の相談、申請、労働安全衛生に関する相談、指導、社員研修、社員教育の実施、メンタルヘルス対策、労働に伴う相談、労使交渉等の紛争代理(特定社会保険労務士としての付記が前提) など

個人からの依頼による年金に伴う相談、申請代行(老齢、遺族、障害、離婚時分割等)>
医療保険各法、介護保険法等に基づく相談、申請代行(傷病手当金、高額療養費、要介護認定等)、労働に伴う相談、労使交渉等の紛争代理(特定社会保険労務士としての付記が前提)、行政協力という名目での下記 厚生労働省管轄下の公的機関での相談業務 労働基準監督署、公共職業安定所、年金事務所、街角の年金相談センター他

【企業にとって足りないもの、業績を上げるために必要なものを明確に!】

 中小企業の事業主様の中には、会社の業務だけをしているだけでは会社の業績を伸ばすにも限界があることを既に認識されている方が多いと思います。
 会社の内部の仕組みづくりから、その仕組みづくりの恩恵として国からの助成金などを獲得できることをご存じでしょうか。

 普段ふと思っていることはありませんか?

「社員がすぐにやめてしまうので高い離職率を下げることができたら……」、「社内の労使間での雰囲気が悪くてなんとか関係を改善できる方法はないだろうか……」、「ルールを明確にすることで社員のモチベーションを上げ、業績アップを目指せたらな……」
⇒ ① 社内規則や規定などを整備したい

起業直後の創業期のために少しでも資金が欲しいなぁ、あるいは異業種に進出を考えている等の理由で、何か返済不要の助成金があれば申請・受給したい
⇒ ② 助成金の申請・受給したい

 「昇給・昇格・賞与の違いは?」「ベースアップと定期昇給とは?」「同業他社の初任給や賃金水準を知りたい」「賃金体系をつくりたい」「能力給や年俸制、また成果給などを導入したい」
  ⇒ ③ 賃金制度を設計したい

「社会保険に未加入の社員がいる(特にパート・アルバイト)」、「社会保険事務所から調査が入り対応に困っている」、「毎月の社会保険料負担に苦しんでいる」など
  ⇒ ④ 社会保険を整備したい

 「定年後の高齢者を効率よく(安く)使えないかと考えている」、「優秀な人材を採用したい」、「あるいは逆にリストラを考えている」など
  ⇒ ⑤ ヒューマン・リソース・マネジメントについて相談したい

 他社の人事労務管理制度や人事労務関連の法改正情報を社労士から得たい
⇒ ⑥ 人事労務関連のトレンドが知りたい

 経営者として相談できる人がいない
  ⇒ ⑦ 渡辺事務所へ?

【社労士事務所を利用するときの注意点】

  以上、社労士にお願いしたいことを整理できたとしても、いろいろ分野があってどの社労士事務所に頼めばよいかわからないですよね……!?

 まず、会社のコンプライアンス的なものをきちんと整備したい(①社内規則や規定などを整備したい、③賃金制度を設計したい、④社会保険を整備したい)とお考えの方は、身近な知り合いに声をかければ、社労士事務所とつながりを見つけることができると思います。①③④については、よほどいい加減な社労士事務所でなければきちんと対応はしてくれます。

 次に、②助成金の申請・受給したいとお考えの方は、社労士事務所の選択は慎重にしなければいけないと思います。
 助成金は、国が進める取り組みを会社が整備し実施している場合に、一定の条件を満たした場合に受給できます。「整備」・「実施」というのがポイントです。「整備」というのは就業規則を初め、労使協定、労働条件通知書・雇用契約書などの社内ルールや会社と労働者との取り決めなどのことです。
一方、「実施」というのは国が求めているルール・書式に則って取り組みを行っていることです。
 助成金の目的を熟知したうえで就業規則を整備できているか、国が求めているルールや書式に則った取り組みをスケジュール通りに行っているかが重要となってきます。
 そして、それを証明するものが申請書類であり、書類の整合性をきちんと判断できるかどうかで助成金を受給できるかできないかが決まってきます。
 ですので、助成金の制度趣旨をきちんと理解して、事業主様に説明することができ、事業主様の負担をできるだけ最小限におさえた「整備」と「実施」のマネージメント、申請書類の作成ができる社労士事務所かどうかがポイントとなります。
 
 最後に、⑤ヒューマン・リソース・マネジメントについて相談したい、⑥人事労務関連のトレンドが知りたい、経営者として相談したいとお考えの方は、さらに社労士事務所を慎重に選択しなければならないと思います。
 いわゆる経営コンサルタントというもので、はずれを引いてしまった場合、事業の動向を左右する事態を生じかねますのでご注意下さい。例えば、適法性と妥当性の区別ができていないコンサルタントに相談すると気づいたら違法なことをしてしまっていたっ! などということにもなりかねません。
 まずは、ご自身が信頼できる人の紹介で知った社労士事務所に①から⑦のことをご相談されるのがよいかと思います。類は人を呼ぶといいます通り、ご自身の人的ネットワークを手繰り寄せたら一生パートナーとなれる社労士事務所に出会えるかもしれません。